相続の費用/相続っていくらかかるの?
みなさま、こんにちは相続・民事信託専門司法書士の菱田です。
さて、今回は相続の相談で毎回出てくるテーマ「相続の費用」について書いてみます。
目次
葬祭費
最初に行うのは葬儀の手配
人が亡くなって最初にかかる大きな出費は葬儀代ですね。
これは葬儀社や形式によるので、一概には言えませんが
外部機関の調査では150万円から200万円くらいです。
これはお経、戒名、お布施などの寺院関連費含んだ金額です。
※自治体から葬祭費の給付を受ける手続きについては「葬祭費をいただく」の記事をご覧ください。
葬儀費用を安く抑えるには?
そんなこと関係あるの?と思われるかもしれませんが、信頼できる葬儀社と事前に打ち合わせすることが大切です。
例えば、病院で親が亡くなり、霊安室で故人と対面するとします。
きっと大きな悲しみを感じているはずですよね。そんなタイミングで初対面の葬儀社を紹介され、
冷静に葬儀の打ち合わせなんてできませんよね?
でも、時間が無いからしないといけないんです。
その状況で冷静に適切な葬儀プランを注文できますか?葬儀社の説明に頷くだけになるのではないでしょうか?
葬儀費削減ポイント①生前に葬儀社との信頼関係を築く。
例えば親が亡くなるまえに、葬儀社さんに相談し、葬祭プランナーさんにいろいろ相談できる関係性をつくっておくと良いです。
このタイミングなら予算や、式のスタイル等、冷静にいろいろ考えることができますよね。
今の葬儀社には親身に相談を聞いてくれる葬祭プランナーさんがいますので
いざという時に備えて先に協力関係を築きましょう。
親が亡くなってしばらくの間、あなたを支えてくれるのは葬儀社の担当プランナーさんですよ。
葬儀費削減ポイント②信頼できる葬儀社を選ぶ
一年中相続の相談を受ける私から見て、いいサービスしてるなと
思う葬儀社のポイントは、アフターフォローがしっかりしている会社です。
葬儀が終わっても、その後の相続手続きなど家族がやることがたくさんあります。
そこまで配慮し、相続手続きの説明や専門家の手配まで面倒を見てくれる会社は
本当に家族の役に立ちたいという姿勢が伝わります。
アフターサービスの範囲を考慮した料金で葬儀社を比較されるとお得な会社が見えてくると思います。
遺産の相続手続きと費用について
ご葬儀、四十九日等を終えたら、そろそろ遺産をどうするかが気になります。
相続人にとってはあまり楽しい話題ではないので、避けたい話ではあります。
こんな時に「うちの親も遺言書を書いておいてくれたらな。」なんていう言葉を
聞くことが多いですが、無いものは仕方がないですね。相続人で話し合いましょう。
遺産を相続人でどう分けるかを話合うことを遺産分割協議といいます。
うまく協議できない→ケンカになっていきます。
遺産の名義変更に必要な資料と費用
相続人全員で遺産分割協議を行い、どの遺産を誰の名義にするか決めます。
話がまとまったら遺産分割協議書を作成し、戸籍謄本、除籍謄本等を取得して親族関係を証明できるようにして、各遺産の相続による名義変更手続きをしていきます。
預貯金なら、銀行や郵便局
株式は証券会社
不動産は法務局といった感じで各機関で手続きをします。
用意する資料は
故人の出生から死亡までの戸籍、除籍、改製原戸籍謄本
故人の除住民票
相続人の戸籍謄本
相続人の印鑑証明書
遺産分割協議書
不動産を取得する相続人の住民票などです。
戸籍、除籍、改製原戸籍謄本が本籍地の地区町村の役所で入手します。
住民票、印鑑証明書は住所地の役所で入手します。
資料取得費用
役所で戸籍謄本等を取得する費用
戸籍謄本 1通 450円
除籍、改製原戸籍謄本 1通 750円
住民票 1通 300円
除住民票 1通 300円
印鑑証明書 1通 300円
が一般的です。
また、郵送請求は小為替で支払うので、小為替の発行手数料100円がかかります。
自治体ごとに料金がちがうので役所のホームページで確認してくださいね。
これらの資料取得を法律専門職に頼むこともできます。
各役所に支払う費用込みで、3万円から5万円(税別)でお願いできるようです。
※相続人が多数の場合は別です。たまに30~40人の相続人がいることがあります。
そうすると相続人調査だけでも数十万円かかりますから、相続は放置しないでください。それも費用削減のポイントです。
相続手続きを頼みたい
不慣れな相続手続きをやっている時間が取れない、ストレスだ、相続人同士が
信頼できないので誰かに間に入ってもらいたい。
そんな時はさっさと専門職にお願いしましょう。
そんな時こそ司法書士がおすすめです。
司法書士は預貯金、株式、不動産等ほとんどの財産の相続手続きを行えます。
特に不動産の相続は司法書士しかできないですからね。
相続税は税理士が相談相手
相続のケンカ(紛争)、相続人が行方不明などは弁護士が相談相手です。
相続人同士でケンカになったらかかる費用
どうしても遺産分割が納得できない。譲れないものがある等で
遺産分割協議がまとまらない場合は弁護士に相談して、遺産分割調停や
交渉を行ってもらいましょう。遺留分の請求も弁護士に頼むといいです。
いい弁護士さんに依頼する効果はすごいものがありますよ。
着手金の目安は20~30万円
あとは成功報酬ですので、ケースごとになります。
弁護士に依頼したおかげで、得られた利益の10%~20%が報酬の目安です。
例 1億円の遺産で、弁護士が交渉してくれて5000万円の利益を得た→5000万円の10%=500万円
内容により報酬が変動することがあります。
相続税がかかる場合
相続税は故人の遺産の価格に課税されます。
基礎控除額を超える遺産がある場合が相続税の対象です。
基礎控除額 3000万 + (相続人の人数 × 600万)
相続人3名 3000万 + (3×600万)=4800万円
といった計算です。
相続税の計算は税理士の経験、度胸、能力で差が大きくでますので
本当に相続税が得意な税理士に相談しましょう。
税理士報酬も税理士で自由に決めていますが
遺産総額の0.5%~1.0%で報酬設定をしているのが一般的です。
1億円の遺産の1%=100万円 というイメージです。
もし親が亡くなったら相続税いくらかかるの?ということは大きな関心ごとであり、
相続税に必要な情報ですから、相続税の試算をしてもらうのがいいでしょう。
10万円から20万円程で試算してくれる税理士もいますよ。
まとめ
財産を相続するにあたり、いろんな手間と費用がかかることはご理解いただけましたか?
相続費用を抑えるには、葬儀会社や専門家に事前に相談し、信頼関係を築くことで
思わぬ支出を抑えることができます。また、迷っている時間もコスト=費用ですよね。
専門家も相続発生後に相談されても協力できることが大きく限られてしまいます。
相続は始まってしまうと、コントロールできることは少ないです。
遺産がいくらあって、費用や納税額はいくらか、安全に名義を変更できるかは
人が亡くなる前にしかコントロールできないのが相続問題の現状です。
生前に対策するのが相続コスト削減のポイントです。
遺産は棚ぼたものと考え、でもありがたい財産だから無駄にはしないように準備する。
という心構えをされている方がスムーズに相続を終えているようです。
一族の財産の名義を守ることにこだわりがある方は民事信託が有効ですよ。
「孫はかわいいんだけどね。。。」の記事をご参照ください。
連休は大切な財産について考える時間をとってみてくださいね。