氏名・名称、住所変更登記の義務化~所有者不明土地問題~
所有者不明土地問題
の対策として「相続登記」が義務化されましたが、登記簿に載っている所有者の氏名、会社名や住所が実際のものと異なっても、土地の所有者を正確に把握することが困難です。
※住所変更登記の放置が所有者不明土地の発生原因の第2位であるため。(ちなみに第1位は相続登記の放置)
義務の内容
不動産所有者(個人・法人)の氏名・名称、住所の変更があった日から2年以内に変更の登記を申請しなければなりません。(新不登法第76 条の5)
正当な理由なく申請義務に違反したときは5万円以下の過料に処せられることになります。(新不登法第164条第2項)
施行時期:2026年4月28日までに施行。
※債権者代位により住所変更登記がされたとしても義務が免れる規定はありません。
義務の対象外となる氏名・名称、住所の変更
所有権以外の権利(地上権や抵当権など)の登記名義人や担保権の登記の債務者等の住所は、所有者不明土地問題とは直接関係がないため、義務化の対象外です。
住民票を移しても自動で登記されることはありません。法律的にはまったく別の行為です。住所が変わったら速やかに不動産登記をしましょう。
会社の代表取締役の方は会社の登記簿にも「代表取締役の住所」が登記されているので、会社の登記も忘れずにお願いします。会社の登記は法律改正関係なく最初から「義務」です。
会社の代表者たるもの、常に最新の情報を登記して情報公開する義務を負っています。そうしないと会社の登記簿を見ても信頼できなくなりますからね。
公文書たる登記簿謄本の信頼性を守り、取引を安全に行える環境を整備するのも代表取締役の務めであるとご理解ください。
逆に、しっかり期日どおりに登記されている会社は、
・代表取締役がしっかりしている。
・総務や法務、経理部のレベルが高い会社である。
・法律専門職との関係性もしっかりしていてコンプライアンスのリテラシーが高い。
等々、会社にいい印象を与えます。
今日も誰かが、御社の登記を見ているかもしれません。
登記制度に深く関わっている司法書士の意識も高くしていかなければなりませんね。