遺言書で祭祀承継者を定める意義
公正証書遺言を作成するきっかけ
として多いケースは、子供がいない夫婦が相手に感謝の意を込めて、迷惑をかけないように何かしなければと考えて遺言書をつくるケースです。
その理由は、例えば夫が亡くなった場合は、夫の妻と、夫の親又は兄弟姉妹が相続人となり、血縁でない者どうしで遺産分割をすることになるからです。
妻からすれば夫と築き上げてきた財産を義理の兄弟姉妹にも分けないといけないの?と考えると複雑な気持ちや不安を感じることでしょう。
その状況を慮って、夫が遺言書を作成することがあります。
また、妻にも個人資産がありますし、中には多くの不動産を所有している方もいますので、同様に夫に対してすべての財産を相続させる旨の遺言書を作成することがあります。
このパターンのご相談では夫婦の愛情を感じますので、冷静にお話しを伺いますがグッときています。
付言事項に愛情たっぷりのメッセージを遺す方もいるんですよ。素敵です。
恥ずかしがらずに是非とも書いてくださいね。
お墓の問題
さて、相続の問題にはお墓の手続きもあるのです。
法律上、お金や不動産という一般的な財産とお墓やご位牌などの先祖、故人を祭るモノは別物という考えです。
お金を相続する人=お墓を使用する人 にならないのです。
あらかじめ遺言書で指定していないことは遺産分割で決めます。
遺産分割のルールは「相続人全員の合意」 です。
場合よっては、お墓の名義変更や墓じまいの時に相続人同士で意見が合わなくてギクシャクすることがあります。
霊園によって異なるとはいえ、お墓の手続きにも複数の相続人の同意が必要であったりするんですね。
そこで、祭祀承継者です。この指定を受けた者は単独でお墓に関する各種手続きを行うことができます。
逆にいうと責任を負うということですが、とにかく他の相続人の協力を求めることなく手続きを完了できるのです。
都立霊園では祭祀承継者が指定してある遺言書と、お墓の使用者の死亡を証明する戸籍謄本類を提出すればOKです。
これが一番簡単です。
↓都立霊園の名義変更について
https://www.tokyo-park.or.jp/reien/use/change_name.html
お金の分け方では話がついたけど、お墓や法要に関して悶着が起きるケースを経験してきました。
「遺言書の作成」というちょっとした工夫で避けられるだけに残念でした。
このブログを読んでいただいてる方は、くれぐれも「残念な相続」にならないように準備していきましょう。
しっかりと準備された相続
というのは、深く故人を悼み、十分に法要なども行いながらも、手際よく手続きすすめることができます。下手に諍いを起こす隙を与えないように準備してきましょう。