成年後見制度の利用促進と相続のミスマッチ
第二期成年後見制度利用促進基本計画
が4月に閣議決定され、日本は国民の財産管理の方法として成年後見制度を推していくようだ。
確かに成年後見制度発足時に比べて、成年後見制度は確実に社会に馴染んだ。
昔は、金融機関でも成年後見人と名乗っても相手にされないことがあったが、今では当然のルールとして定着している。
判断能力の低下した人は成年後見制度でカバーするというルールが固まった以上、さらに良いものにしていこうということであろう。
問題はだれにとって良い制度か です。
成年後見制度は本人の人権を尊重する制度
である以上、本人の利益を最重視します。
判断能力が低下した被後見人の財産は本人のために管理されます。
日本国憲法第13条にあるように、個人の権利を尊重し、保護するのが成年後見制度です。
一方で相続はどうでしょう。
相続対策は「相続人のため」の活動
ですので、親に成年後見人が就いていると相続対策や相続税対策といった、家族、相続人のために
親の財産を移動する活動が原則としてできなくなります。
親-子―孫の家族単位(昔でいうと家単位でしょうか。)で、財産の承継や活用を考えると、現在の成年後見制度は相性がよろしくないでしょう。
相続は日本古来からの「家」や「氏族」を社会的な単位とする考えが取り入れられています。特に旧民法は。
日本国憲法になって個人を尊重する法体系となり、その一端として成年後見制度が整備されています。
最近の民事信託の流行もあり、日本古来の家族観と成年後見制度がどう折り合うか。今後の課題と感じます。