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相続と、それから。― 相続手続の先にある、家族と財産のこれから
目次
相続登記や預貯金の解約など、一連の相続手続が終わると、「これで相続は終わった」と感じる方も多いと思います。
しかし、私たち司法書士が相続のご相談を受けていると、相続手続が終わった後にこそ、考えておいた方がよいことがたくさんあると感じます。
たとえば、
・相続した不動産をこのまま持ち続けるのか
・使っていない土地や建物を売却するのか
・共有になった不動産をどうするのか
・高齢になった親の財産管理をどうするのか
・次の相続に備えて遺言を作るべきか
といった問題です。
相続は、亡くなった方の財産を引き継ぐための手続であると同時に、これからの家族と財産のあり方を考える機会でもあります。
菱田司法書士法人では、相続手続そのものだけでなく、その先にある「それから」まで一緒に考えることを大切にしています。
1.まずは相続した財産を整理する
相続が終わったら、一度、現在の財産を整理してみることをおすすめします。
確認したいのは、預貯金や不動産の金額だけではありません。
不動産であれば、
・誰の名義になっているのか
・共有者はいないか
・住宅ローンや抵当権は残っていないか
・現在誰が利用しているのか
・将来も保有する必要があるのか
なども確認します。
預貯金、有価証券、保険、借入れなどについても整理しておくと、家族全体の財産状況が見えやすくなります。
私たちは、こうした財産の整理を**「家族の財産の地図をつくること」**だと考えています。
現在地が分からなければ、これからどこへ向かうべきかを判断することも難しいからです。
2.相続した不動産を「残す・活かす・売る」で考える
相続によって不動産を取得したからといって、その不動産をずっと所有し続けることが必ずしも最善とは限りません。
大きく分けると、不動産については、
「残す」「活かす」「売る」
という3つの方向があります。
自宅や収益不動産など、家族にとって必要な不動産であれば、将来も適切に管理できるよう権利関係を整えておく必要があります。
一方、誰も住む予定のない実家や、利用していない土地などについては、売却を検討した方がよい場合もあります。
特に注意したいのが共有不動産です。
兄弟姉妹など複数人で相続した不動産は、将来売却しようとしたときに全員の意思が一致せず、処分が難しくなることがあります。
さらに共有者について相続が発生すると、権利関係がより複雑になる可能性があります。
「とりあえず共有にしておく」のではなく、5年後、10年後に誰がこの不動産を管理するのかまで考えておくことが大切です。
3.親の認知症や判断能力の低下に備える
相続のご相談から、次に問題となることが多いのが親世代の財産管理です。
たとえば、母親が一人で自宅に住んでいるケースを考えてみましょう。
現在は元気なので問題がなくても、将来介護施設へ入居することになり、自宅を売却して施設費用に充てたいということがあるかもしれません。
ところが、その時点で本人の判断能力が大きく低下していると、本人だけでは不動産の売却契約をすることが難しくなる場合があります。
そこで、判断能力が十分にあるうちに、
・遺言
・家族信託
・任意後見
などの制度を検討することがあります。
ただし、大切なのは**「家族信託を使うこと」「遺言を書くこと」自体を目的にしないこと**です。
「自宅にできる限り住み続けたい」
「施設に入ったら自宅を売却できるようにしたい」
「財産管理を子どもに任せたい」
など、まず実現したいことを確認し、その目的に合った仕組みを選ぶことが重要です。
4.今回の相続だけでなく「次の相続」まで考える
相続対策では、今回の相続だけを見るのではなく、次に起こる相続まで考えることも大切です。
たとえば、父が亡くなり、母と子どもが相続人になったとします。
今回の遺産分割だけを考えれば問題がないように見えても、その後、母について相続が発生すれば、財産はさらに次の世代へ移ります。
そのとき、
・不動産がさらに共有になる
・相続人同士の関係が変わっている
・財産管理をしていた人が高齢になっている
といった問題が生じる可能性があります。
そのため、
今回の相続
→ 親世代のこれからの生活
→ 認知症への備え
→ 次の相続
→ 次世代への承継
という時間軸で考えることが重要です。
5.相続登記の先まで司法書士に相談する
司法書士というと、「不動産の名義変更をする人」というイメージを持たれることがあります。
もちろん相続登記は、司法書士の重要な仕事です。
しかし、相続に関係する法的な問題は登記だけではありません。
相続、遺言、成年後見、家族信託、不動産の権利関係、会社や株式の承継など、家族や財産が次の世代へ移っていく場面には、さまざまな法的課題があります。
必要に応じて税理士、弁護士、不動産会社などの専門家とも連携しながら、それぞれの専門分野を組み合わせることも必要になります。
私たちが目指しているのは、単に一つの登記を完了させることではありません。
司法書士の力で、家と会社の継続性を強くする。
そのために、現在の権利関係を整理し、将来起こり得る問題を考え、必要な法的な仕組みを整えていく。
それが、これからの司法書士に求められる役割の一つだと考えています。
相続が終わった方に、一度考えていただきたいこと
相続手続が終わったら、次のようなことを確認してみてください。
・相続した不動産を今後どうするか決まっていますか?
・共有になっている不動産はありませんか?
・高齢のご家族の財産管理について考えていますか?
・ご自身の遺言は必要ありませんか?
・次の相続が起きたとき、家族が困る財産はありませんか?
一つでも気になるものがあれば、今すぐ何かの手続をする必要はなくても、一度整理しておく価値があります。
相続は、財産を受け取って終わるものではありません。
受け継いだ財産をどう守り、どう活かし、そして誰につないでいくのか。
相続と、それから。
菱田司法書士法人は、相続手続の先にある、ご家族と財産のこれからまで一緒に考えます。